第2回:初めての歯医者さんはいつから?
赤ちゃんに歯が生えてくると、いつ頃から歯医者さんに行けばよいのか気になります。「歯医者さんデビュー」の目安や歯科受診のポイントについて、第1回に続き、大森歯科・口腔外科の大森翔英院長にお話を聞きました。
(全2回 1回目はこちら)
◇赤ちゃんのむし歯予防は妊娠中から
赤ちゃんのむし歯予防は、お母さんが妊娠したときから始まります。妊娠中は口の中のトラブルが起きやすい時期です。まずお母さんが歯科医院に行くことをおすすめします。
妊娠するとお母さんの歯が弱くなります。なぜなら体内で赤ちゃんを育てるために、母体の免疫力が下がるからです。するとむし歯や歯周病が非常に増えやすくなります。さらに口の中が酸性に偏るので、それによっても歯が弱くなります。かつては「子どもを一人産むたびに、歯を一本失う」と言われていたほどです。
そしてお母さんにむし歯が多いと、赤ちゃんにむし歯菌が感染してしまいます。生まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌はいません。1歳半~2歳半の時期に、お母さんや周囲の人から唾液を介して感染するといわれています。実際、お母さんにむし歯が多いとお子さんも多い傾向があります。
またお母さんの歯周病がひどくなると、早産や低体重児出産のリスクも高まります。 そのため、妊娠したらお母さんの口の中のケアをしっかりすることがとても重要です。
◇「歯医者さんデビュー」は2歳児歯科健診のタイミングで
お子さんが初めて歯科受診をする時期ですが、常陸太田市が実施する2歳児歯科健診(令和3年12月掲載号参照)のタイミングなど、歯がある程度生えそろってきた段階で始めるのがよいでしょう。当院ではちょっと歯磨きをして、フッ素を塗るところからスタートします。
といっても、それ以前の年齢だと歯科医院に行けないということではありません。妊娠中に続き、この時期はお母さんの口の中をきれいにすることが大切です。
歯が生えそろっていないお子さんをお母さんが連れてきたら、我々はお母さんの口も拝見させていただきます。お子さんやお母さんの口のことで気になることがあれば、お子さんの年齢にこだわらず早めに受診しましょう。
◇「歯医者さんは楽しいところ」と思ってもらう
当院では小さなお子さんを診るとき、まず「歯医者さんは楽しいところ」と思ってもらうことを心がけています。お子さんが口を開かない日があってもよいと考えています。そして口を開けてくれたら「すごいね!」歯ブラシを口に入れたら「よくできたね!」と褒めます。
大切なことは、お子さんが他人にも口の中を見せてくれる状態になってくれることです。当院では待合室に歯医者さんごっこのおもちゃを置いたり、歯磨き粉もおいしい味のものを用意したり、親御さんとお話をしながら、お子さんが嫌がらない範囲でできることをしています。むし歯予防の場合は、親御さんにお子さんの口を磨いてもらい、染め出し液を塗って汚れが残っているところを見ていただきます。そして汚れのとり方や糸ようじ(デンタルフロス)の通し方を伝え、最後にフッ素を塗ります。
よく「子どもが騒いでしまい、迷惑がかかるといけない」と受診をためらう声を聞きますが、そんなことはありません。むしろ歯医者を嫌がるお子さんは、お口の中が大変なことになっている可能性もあります。ぜひ早めに歯科医院に連れて行き、慣れさせることをおすすめします。
◇歯磨きの時間を親子のコミュニケーションに
むし歯以外の口のトラブルについてですが、指しゃぶりは歯並びに影響してしまうので、やめさせたい習慣です。どうすればやめられるのかは難しいところではありますが、背景には何かしらのストレスがある可能性もあるので、個人的には親御さんとのスキンシップが増えると減ってくるように感じます。ですので、毎日の歯磨きの時間に親子のコミュニケーションを意識してみてください。ていねいに仕上げ磨きをしたり、「ピカピカに磨けたね!」と褒めてあげたりすることが、指しゃぶりを減らすきっかけになるかもしれません。
◇歯周炎、糸ようじで防ぐ
お子さんのむし歯を気にされる方は多いですが、歯周炎も気にしていただきたいですね。ケアの仕方は、むし歯対策と同じで、ばい菌の数を減らす、正しい歯磨きをする、食事に気をつける、この三点がポイントです。親御さんがお子さんの口の中を見て、「歯茎から血が出ているな」「なんか汚れがあるな」と思ったら、その時点で歯科医院に連れて行くなど、気軽に受診していただければと思います。
そして歯周炎を防ぐためには、むし歯と同じく糸ようじが重要です。歯茎の炎症の原因となるばい菌は、糸ようじを通すことにより空気に触れて数が減ります。よって、痛がらない程度で糸ようじをしてあげてください。歯茎から血が出ると驚きますが、ばい菌がいる証拠なので、止めずに少しずつきれいにしてあげてください。
我が子に初めて歯が生えたときは、成長を感じることができて嬉しい気持ち、笑った時に見える小さな歯がとても愛おしく 今後が楽しみな反面、成長と共に揃ってくる歯に対してむし歯の心配やお口のトラブルなど、不安に思うことや悩み事 が増えてきます。
気がかりなことや歯医者さんに行く前に誰かに相談したいとき、市の相談窓口がありますので、お気軽にご連絡ください。
・子育て世代包括支援センター「ここキララ」
TEL 0294-72-1100