移住者に聞く「移住と子育て」Vol.1

常陸太田市へ移住してきたセンパイから、移住の決め手や移住直後のとまどい、地域の方とのふれあいなど、経験者ならではの生の声をお届けします。
今回は金砂郷地区へ移住した塚田慎さんにお話を伺いました。
ぜひ常陸太田市への移住や子育ての参考になさってください。

プロフィール

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理想の子育て環境を求めて、2017年に地域おこし協力隊として東京から家族で金砂郷地区に移り住んだ塚田慎さん。現在は一般社団法人「いまぼくらと」代表として、市と協働しながら移住を検討する人向けのお試し居住体験ができる「田舎暮らしトライアルハウス勉知庵(べんちあん)」を運営するなど、移住希望者と地域をつなぐ支援に取り組まれています。家族は妻と妻の母、移住後に生まれた長女(4歳)と次女(1歳)の5人。移住のきっかけや常陸太田市の魅力、子育てについてお話を伺いました。

■ドライブしながら移住先を探す

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高校3年まで下妻市で育ちました。その後、会社勤務を経て、都内でカメラマンとして独立しました。2015年に結婚、移住するまでは都内の妻の実家に住んでいました。
でも結婚当初から、東京ではないところで子育てをしたいと思っていたんです。そこで家族でドライブし、「こんなところがいいね」などと話し合いながらいろいろな場所を見て回りました。

■豊かな自然に買い物も便利、直感で決定

私は田舎で育ったこともあり、大自然に囲まれた「ポツンと一軒家」のような、湧き水を飲んで暮らすようなところに住むのが理想でした。でも東京に生まれ育った妻は都内から出たことがなく、そういうところには難色を示しました。お互いの希望をかなえられるところを探していて、出会ったのが常陸太田市。子どもの足で歩けるところに豊かな自然がある一方、買い物に行くのにも便利なところに魅了されました。さらに私の実家は下妻市、妻の母は福島県いわき市出身。妻と「お互いの実家に行き来できるところに住めれば最高だね」と話していたので、こんな最高なところがあるんだとほぼ直感で決めました。

■分からないゆえの不安、新入社員と同じ

移住直後は、仕事も生活も、どちらも初めてで不安でした。地域おこし協力隊の仕事につく人は「社会のために」と熱い理想を持っている人が大半です。でも自分は単純に暮らしたくて来ているし、外の力を必要としている人のお手伝いになればという気持ちだったので、その中で戸惑いがありました。また生活に関しても知らないことばかりでした。例えば、町内会の仕組みから野菜をいただいたら何をお返しすればよいかまで、分からないゆえの不安がたくさんありました。
でも、それらの不安は早いうちになくなりました。仕事に関しては、いわば新入社員のストレスと同じ。勉強しながら覚えていきました。生活に関しては、仕事でいろんな人と関わり、親切に教えてもらううちに分からなかったことが解消されていきました。
妻も移住して初めての子育ては大変だったと思います。でも近所のママ友達との交流を楽しんでいたこともあり、ストレスをためることはなかったようです。周りの方も娘を連れて行くとお土産をくれたり、名前を覚えてくれたり。大家さんもちょくちょく様子を見に来てくれました。本当に常陸太田市の人はめちゃくちゃ人柄が良いです。

■歩いていけるところに自然がいっぱい

子育てをする中で感じる常陸太田市の魅力ですが、市の施設では、各地域のこども園や保育園に子育て支援センターが併設され、入園前の子どもとママが交流できる場になっています。職員の方が子どもの面倒を見てくれたり、ママ同士のつなぎ役になってくれたりします。妻もそこで新しい友達ができ、子育てライフがさらに充実したようでした。
あとは身近で自然に触れて遊べる環境がたくさんあるところですね。歩いていけるところに川遊びができるところがあって、夏は水着を着てそこでジャブジャブと遊べる。山遊びも身近でできる。最近長女が自然遊びに興味を持ち始めたところなので、いっしょに遊びに行きたいですね。
実は都内に住んでいたとき、公園で子どもたちが遊んでいる周りを大人たちが囲んでいる光景を見て、ここで子育てはちょっとしんどいと思いました。子どもが自分の裁量で自由にできる範囲が狭いように感じたんです。それに近くの道路に車がビュンビュン走っている。親は心配になりますよね。子どもにはそういうことを気にせず、自由に遊びながら、想像する力や考える力、自分で作り出す力を鍛えてほしい。そういうことができる環境が、ここにはあります。

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■つながりが増え、充実度が増した

地域おこし協力隊の仕事を通じていろんな人に出会い、新しいチャレンジをさせてもらいました。面白そうなことには自分からも積極的に関わっていきました。人とのつながりが増えるにつれ、生活の充実度も増していきました。
ただ「移住はコミュニケーションが苦手だと難しい?」と聞かれることがありますが、そんなことはありません。大切なのは、移住先の地域の人に敬意を持つことです。自分たちがよいと思った地域は、自然に発生したものではなく、地元の人が作り上げてきたもの。その環境をつくってくれた地元の人への敬意があればきっと大丈夫です。

■1人でいいから知り合いを作る

移住を考える際には、実際に移住する前に、1人でいいので移住先に知り合いを作ることをおすすめします。思いもしないその土地ならではの常識があったりします。知り合いがいるとそういった相談に乗ってもらえます。
例えば我が家では、引っ越しの挨拶について何軒回ればいいか、近くに住んでいる大家さんに相談しました。都内なら隣の家だけでよいかもしれません。でも私が住む地域では、町内にある常会や班といわれる小さな組織全体に回るアドバイスをもらいました。こういった事も教えてもらわないと分かりません。
その他ゴミの捨て方や病院のかかり方などちょっとしたことでも相談できると、移住してからのストレスが格段に減ると思います。

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■移住者と地域をつなげ、大きな力に

自分の経験からも移住支援とは、一番に人と人をつなげることだと思っています。これからも移住を希望する人と地域で面白いことをやっている人をどんどんつなげていきたいですね。一口に移住を考えると言っても、子育てしたい人、農業したい人、自給自足したい人、いろんな方がいます。お互いのやりたいことをつなげて、実現に向けたお手伝いをしていきたい。つなげることで更に大きな力が生まれると思っています。

常陸太田市田舎暮らしトライアルハウス勉知庵(べんちあん)
HP:https://bokurato.com/otameshijuukyo/
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