親子で歩く竜神峡紅葉ハイキング
秋も深まり、気温が低くなるにつれて、常陸太田市の野山の紅葉は進み赤や黄色に染まります。秋の行楽シーズン、お子さんと一緒に紅葉ハイキングに出かけてみてはいかがでしょうか。
今回は常陸太田市内外からも紅葉のスポットとして人気の高い竜神峡をご紹介いたします。
コース内の主な広葉樹の種類は「鮮やかな赤い葉」が特徴のモミジにカエデ、「どんぐりの木」としてお馴染みのコナラやクヌギなどです。

竜神峡のハイキングコースは、「亀ヶ渕」や「武生神社」へ向かうコースが定番ですが、今回はお子さんと一緒に巡るため、距離の短い「大吊橋利用ミニコース」を紹介いたします。
令和3年7月掲載号「散歩のすすめin鯨ヶ丘商店街」でも紹介したように、「コミュニケーション」や「気分転換」そして、「季節」を感じ、お子さんとの思い出を作ってください。
◇起伏に富んだコースを楽しみましょう

「大吊橋利用ミニコース」は、全長約1.5km。まず、水府物産センター前から竜神大吊橋で峡谷を渡ります。次に峡谷をくだり、竜神湖に沿って竜神ダムへ向かいます。そして、ダムの上(天端)を歩いて対岸に渡り、峡谷を登って水府物産センター前に戻ります。短い距離ですが、高低差は約100m、起伏に富んだコースを歩きながら紅葉を楽しめます。
また、大吊橋を渡る際、橋の上からコース全貌が把握できるのも特徴の一つです。例えば、大吊橋からダムや道路を見おろし、自分たちがこれから歩くことをイメージすれば、お子さんの想像力の良い刺激になるでしょう。
コースは、休みながらゆっくり歩くと1時間半ほどかかります。なお、大吊橋第一駐車場は午後5時までの利用ですので、時間に余裕をもってお出かけください。
◇竜神大吊橋を渡る

・スタート&ゴール地点 水府物産センターと竜神大吊橋の入口
一般的に竜神大吊橋は峡谷を往復し、竜神峡の景色と高さ体感するスポットです。今回ご紹介するコースは、大吊橋を渡り、その先の峡谷をくだるため、橋の復路はありません。橋を渡る際は眺めを十分に楽しみましょう。

橋を渡った正面には大吊橋の象徴とも言える、巨大な竜の壁画とドーム型の屋根の「木精(もり)の鐘」があります。

「木精(もり)の鐘」を左へ進むと大吊橋と峡谷が一望できる展望ポイントです。映像や写真を残して思い出にしましょう。

・「大吊橋利用ミニコースmap」 P-1より撮影
峡谷をくだる階段付近には東屋があるので、準備や水分補給をしてくだり始めるにはちょうど良い場所です。
※渡橋料金 大人:320円・小人:210円
◇竜神峡をくだる

いよいよ峡谷をくだります。数十メートルほど斜面を下る細く長い坂が続きます。お子さんの安全に配慮し、手をつないだり、手すりにつかまるなどしてください。
途中右側にベンチがあるので、休憩をしながら無理をせずにゆっくり進みましょう。
くだり斜面の終着点には回転扉があります。扉を通ると後戻りできませんので、ご注意ください。

ここから先は、竜神ダムまで舗装路です。回転扉を通ると案内板が支柱とガードレールの2か所にあります。標識に従い道路を左、竜神ダム方面に進みます。
◇竜神ダムに向かう
400mほど舗装された平坦な道を歩きます。竜神ダムまでは車両進入禁止区間なので、安心して景色や写真撮影をお楽しみください。
舗装路を歩きはじめて100mほどは、木々の葉が生い茂り、薄暗いのですが、緩やかな右カーブを過ぎた辺りから視界がよくなり、右側には、竜神湖の水面が広がります。そして、見上げると竜神大吊橋が空を横切るダイナミックな景色が広がります。

・「大吊橋利用ミニコースmap」 P-2より撮影
竜神ダムへ向かう途中に、令和3年4月掲載号「山場・水辺・近場で楽しむ 外遊び」でご紹介した、竜神峡を湖面から見上げる「竜神峡アウトドアフィールド」のエントリーポイントがあり、カヌーが停泊しています。機会を見つけてご利用ください。(要予約)

竜神ダム管理事務所付近には、絶好の撮影ポイントがあります。モミジの赤と青空、そして、そびえ立つ大吊橋の主柱が綺麗に撮れる場所です。ハイキングの思い出に家族写真を撮影しましょう。

・「大吊橋利用ミニコースmap」 P-3より撮影
◇竜神ダムを渡り、峡谷を登る
竜神ダムの駐車場には東屋があり小休止ができます。辺りの紅葉を眺めてリラックスをして、峡谷の急な上り坂に備えましょう。
ダム上の遊歩道(長さ45m)で竜神湖を渡り、大吊橋まで峡谷をのぼります。

写真上)「大吊橋利用ミニコースmap」 P-4より撮影
写真下)ダム上の遊歩道
遊歩道の突き当たりには、断崖と大吊橋への案内板です。標識に従い右に進みます。

峡谷の登りはじめは、コンクリート製の階段で緩やかですが、数十メートル進むと傾斜角が増します。お子さんを気遣いながら、手すりに掴まり無理せずゆっくり進みましょう。階段を登り切った後は、少し傾斜が緩やかになります。見上げると木の葉の隙間から大吊橋が見えるスポットがありました。落葉の状況によって見え方は変わりますが、まるで、森の覗き窓から空を見上げているようです。

・大吊橋利用ミニコースmap P-5より撮影
◇ハイキングの終わりに
竜神ダムを渡り300mほど斜面を登ると、ベンチと標識があり「大吊橋料金所 250m」とありますが、この先の上り坂は急で長いので、ベンチで休憩や給水をおすすめします。ベンチから水府物産センターの手前100m付近までは、日当たりが良く、より鮮やかな紅葉が観られます。この辺りで落ち葉を拾ったり、どんぐりを集めたりしてみてはいかがでしょうか。ハイキングの思い出を家に持ち帰り、集めた落ち葉を「押し葉」にしたり、どんぐりに顔の絵を描くなど、お子さんと一緒にハイキングの思い出を形にしましょう。「押し葉」と「どんぐり」については、後述いたします。

写真上)紅葉をし始めた朴の木など
写真下)日当たりの良い斜面
日当たりの良かった斜面は、次第に木々が生い茂りコースが薄暗くなります。ここまでくると、ゴールは目前です。大吊橋や水府物産センターから流れてくるBGMも徐々に大きく聞こえてきます。

やがて薄暗かった坂道の景色が一変し、明るくなります。前方には高くそびえる大吊橋の主柱が見え、「大吊橋利用ミニコース」のゴール水府物産センター前に帰ります。

◇ハイキングの思い出を形にしよう

ハイキング中に拾った鮮やかな色の落ち葉。そのままにしておくと、時間の経過とともに色あせて枯れてしまいます。「押し葉」にして思い出を残しましょう。昔ながらの「押し葉」の作り方は、落ち葉を辞書や百科事典などの「重し」に挟む方法で1週間ほど時間がかかります。そこで、今回は電子レンジを使い短時間で作る方法をご紹介いたします。簡単にできますのでお試しください。
~電子レンジを使った押し葉の作り方~
材料
・落ち葉 数枚(電子レンジに入る枚数)
道具
・ダンボール板2枚(電子レンジに入る大きさ)
・キッチンペーパー 2枚
・輪ゴム4本

写真左上)ダンボール板の上にキッチンペーパーを敷き、落ち葉をのせる
写真右上)落ち葉の上にキッチンペーパーとダンボールをのせ、落ち葉を挟む
写真左下)ダンボールを4本の輪ゴムで圧着する
写真右下)600wに設定した電子レンジで50秒~1分間加熱する

完成です。
※電子レンジを使うと短時間で「押し葉」を作れますが、昔ながらの「重し」に挟む作り方は、より綺麗に「押し葉」に仕上がります。
~どんぐりの表面に顔を描こう~
どんぐりは、家族みんなで顔を描いて楽しみましょう。ホワイトペンや油性の細ペンを使って、自由に表情をつけて、落ち葉の上にのせれば完成です。
※どんぐりの中には、虫がいる可能性があるので、鍋などを使い3分から5分ほど煮沸してください。
茹でたどんぐりは、新聞紙などに広げ、風通しのよい日陰で乾燥させます。直射日光で乾かすとどんぐりが割れてしまうことがあるのでご注意ください。

秋色に染まる竜神峡を歩く「大吊橋利用ミニコース」は、ハイキングとしては短めの1.5km程の距離ですが、峡谷の上と下の両方を短時間で巡ることができます。秋特有の景色や空気を感じながら、お子さんと一緒のハイキングは大切な思い出になります。
また、集めた落ち葉は「押し葉」にして、本のしおりに。そして、どんぐりに顔を描いて遊ぶなど、ハイキングのあとも楽しめます。
これから、日を追うごとに寒さが増す時期です。木々の紅葉は、朝晩の寒暖差が大きいほど鮮やかに色づくと言われています。
竜神峡には、大吊橋のほかにも「亀ヶ渕」、「武生神社」をはじめ、大吊橋を一望できる「赤岩展望台」。そして、令和3年4月掲載号「山場・水辺・近場で楽しむ 外遊び」でご紹介した「竜神ふるさと村」や「水府竜の里公園」では、紅葉に包まれながら秋のキ
ャンプを楽しめます。思い思いのプランで、常陸太田市の秋の紅葉を満喫してください。
竜神大吊橋
〒313-0351 常陸太田市天下野町2133-6
TEL 0294-87-0375
URL https://ohtsuribashi.ryujinkyo.jp/index.html