夏休み特集「カブトムシとクワガタムシ」

夏休み特集「カブトムシとクワガタムシ」

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強い日差しに青い空。森や林から鳴り響く蝉の声が、夏を感じさせます。
幼いころ、夏にカブトムシやクワガタムシを捕まえに行ったことがある方は多いでしょう。常陸太田市の山林には、昆虫が生息する環境、ブナやナラの落葉樹の雑木林が各所にあります。
常陸太田市在住の弓野征司さんにカブトムシの習性や飼育方法などを伺いました。弓野さんは10年前から、折橋町の雑木林を「カブト虫の里」として開放し、親子でカブトムシやクワガタムシ採集体験ができるイベントを開催するなどカブトムシの採集や飼育の経験が豊富な方です。

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写真中央)子どもさんを抱きよせる弓野さん。前列、黄色いTシャツの5名が「カブト虫の里」のメンバーとボランティアスタッフのみなさん

■カブトムシ、クワガタムシの習性と採集方法

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カブトムシやクワガタムシの採集は、夏休みの印象が強いですが、6月下旬から9月の上旬までで、採集場所は、ナラやクヌギの雑木林。
常陸太田市で採れるカブトムシは主に「ヤマトカブトムシ」です。

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ヤマトカブトムシ

クワガタムシは、「ノコギリクワガタ」、「コクワガタ」が主な種類です。深い山にいることが名前の由来と言われる「ミヤマクワガタ」も希少ですが採れます。

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ノコギリクワガタ

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基本的に夜行性のカブトムシ、クワガタムシの採集時間は、活動を始める17~19時頃か、明け方4時~6時ぐらい。弓野さんは、「採るなら朝の方が良い」とのこと。理由は、羽化したばかりの若い成虫も多くいるため、長い期間飼育を楽しめるからです。

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木の幹から染み出る樹液に集まるカブトムシやクワガタムシ。採集のコツは虫を見つけるよりも、餌場になる樹液を出している木を見つけることが重要。木の幹にキズがついていたり、くぼんで黒っぽく変色している所がポイント。

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虫を捕まえる方法は、「やっぱり、手で直接つかむのが基本です」と弓野さん。もし、木の高い場所にカブトムシやクワガタムシを見つけたら、「虫取り網」が届く範囲なら網で、または、木を揺らして振り落とします。地面に振り落とされた虫は、素早く葉の陰などに隠れようとするので、落ちてくる様子を注意深く観察して捕まえましょう。

■採集の注意

注意

木の幹の他にも落ち葉の下、枯葉が積もって腐食した「腐葉土」の中にカブトムシやクワガタムシが潜っていることがあります。ただし、落ち葉の下や腐葉土をかき分けることは、危険ですので避けてください。場所にもよりますが、地表や地中には、ムカデ、毛ムシ等の毒虫を始め、マムシやヤマカカシなどの毒蛇が潜んでいることがあります。くれぐれも、お子さんが地面の落ち葉をかき分けたり、木の根元の土を掘り起こしたりしないように、保護者の方は十分な配慮が必要です。そのほか、アシナガバチやスズメバチ、アブにブヨなどがいる可能性があります。アシナガバチやスズメバチは、カブトムシと同様に樹液を餌にしています。もし、カブトムシとスズメバチが同じ木の樹液を吸っていたら、無理をせずに、採集は諦めることをおすすめします。

また、ヤブ蚊が多い雑木林もあります。虫除け対策をして、肌の露出を少なくするようにしましょう。

そして、肌が弱いお子さんは、草木に触れただけで皮膚炎になる場合もありますし、漆のように多くの人が「かぶれる」植物にも用心する必要があります。

※常陸太田市内の雑木林の多くは「私有林」です。林の所有者の許可が必要な場合があります。ご注意ください。

■飼育に必要な用具とコツ

カブトムシやクワガタムシの飼育で主に必要な用具は以下の3項目です。

  • 飼育ケースと腐葉土(マット)
  • 餌(昆虫ゼリー)
  • のぼり木と霧吹き

家庭でのカブトムシやクワガタムシ飼育は、温度や湿気を維持し、虫が快適にすごせる環境を整えましょう。直射日光は避け、家の中でも涼しく、25~28℃ぐらいで雑木林の環境にできるだけ近い状態にするのが、飼育のコツです。
また、「カブトムシとクワガタムシは必ず分けてください」と弓野さん。一緒のケースに入れると喧嘩しすぐに弱ってしまうそうです。

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1つのケースでカブトムシのオスとメスを1匹ずつ飼育する環境を紹介いたします。

ケースと腐葉土(マット)

ケースのサイズは、横幅30cm奥行き20cm以上、高さについて弓野さんは、「できるだけあった方がいいね」とおっしゃっていました。ケースの底に腐葉土(マット)を入れるのですが、分量をできるだけ多く入れるとケース内の温度が安定するようです。ケースの四方は密閉されているので、熱がこもりやすくなります。カブトムシとクワガタムシは夏の昆虫ですが、暑さに弱く、「小さなケースにいれて、直射日光の下に置いておくとすぐに死んでしまうよ」とのことでした。

餌(昆虫ゼリー)

餌については「市販の昆虫ゼリーがいいよ」と弓野さん。
子どもの頃の思い出では、スイカやメロンなど、夏の果物の食べ残しを餌にしていた方も多いのではないでしょうか。水分の多い果物は、カブトムシやクワガタの尿の量をふやし、匂いのもとになります。また、虫たちが暮らす環境には無いものですので、活動に必要な栄養素も異なるので寿命にも影響します。長生きをさせたいのならば、餌には市販の「昆虫ゼリー」をおすすめします。

のぼり木と霧吹き

「のぼり木」は、仰向けにひっくり返ったカブトムシやクワガタムシが起き上がるのに役立ちますし、木の下に隠れたり、自然に近い環境も再現できます。また「昆虫ゼリー」を「のぼり木」の幹の穴に埋め込めるタイプもあり、マットの上に直接ゼリーを置くよりも安定し、まるで樹液を吸っているような姿を観察できます。
また、林の中の環境に近いことが望ましいので、定期的にマットに霧を吹き、適度に潤しましょう。飼育環境によっても異なりますが、雑木林の腐葉土程度の湿り気が理想です。
カブトムシやクワガタムシは、とてもデリケートな生き物です。飼育用品は、ホームセンター、ペットショップなどで販売されているものを使用することで、飼育環境がより自然に近いものになります。ケースやマット、昆虫ゼリーにのぼり木などの種類が選べます。詳しくは、店頭で販売担当の方にお尋ねください。
もし、カブトムシやクワガタムシを飼育したくても、採集ができない場合は、ホームセンター、ペットショップなどで販売しています。 カブトムシの寿命は2ヵ月~3ヵ月程度です。成虫が冬を越すことはできません。そこで、可能な限り長生きさせたいならば、オスとメスを分け、1匹ずつ別のケースに飼う方法もあります。理由は、オスは交尾を、メスは卵を産むとまもなく死んでしまうからです。
お子さんと一緒に愛情を込めて飼育をするなら、オスメスの交尾、そして、メスの産卵で終わる一生を観察してみてはいかがでしょう。カブトムシの飼育を通じて、命の尊さや大切さを学べます。また、卵から幼虫が生まれ、新たな命の誕生も観察できるかもしれません。

■カブト虫の里

お話を伺った弓野さんは、「折橋芸(能・農)部」の代表で仲間たちと、芸能(舞踊)・農業(お茶・そば・小麦)で地域の活性化を目的とした活動をしています。その活動の一つが「カブト虫の里」です。

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活動を始めてから10年目を迎える本年2021年は、7月下旬から体験が開始されました。8月2日以降の開催日は、7日・8日・9日の3日間です。開始時間は各日3回、午前9時、11時、そして、午後1時。お申し込みは、参加希望日の2日前までに電話にて予約が必要です。入場料大人300円、子ども200円。カブトムシ採取体験は、1,100円(1人2匹まで、持ち帰り用の飼育ケースセットが付きます)。
また、カブトムシ採集体験の他、里の清流でヤマメのつかみ取りやBBQもできます(いずれも別料金。BBQは場所のみの提供になります)。
詳細とご予約は、代表の弓野さんがお電話(080-1202-4242)にて対応します。

虫取りや川遊びを通じて、「我々が子どものころ体験した自然の豊かさや素晴らしさを、今の子どもたちや親御さんに、少しでも感じてほしい」と語る弓野さんは御年77歳。「仲間と一緒に気持ちが続く限りこの活動を続けていきます。」とおっしゃっていました。
2021年7月号「教育者から見た子育て」で紹介した「親子自然探索サークル」と同様に、 「折橋芸(能・農)部」が主催する「カブト虫の里」は親子と常陸太田市の自然との距離を縮めると共に、親子と地域を結ぶ子育ての在り方の1つではないでしょうか。

[協力]
折橋芸(能・農)部
カブト虫の里
TEL 080-1202-4242 <代表:弓野征司>
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